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いきいき 2004年12月号掲載
連載「未来への視点」第7回
これからの「働き方」

 1990年代の長い不況の間に、企業とそこで働く人の関係は大きく変わりました。良い企業に就職すれば一生安泰という時代は終わろうとしています。これからの時代には、企業に依存しない生き方が求められそうです。


消えない不安

 2004年、日本経済は十年以上も続いた不振から、ようやく回復してきました。しかし、私たち一人ひとりの将来に対する不安感は、まだまだ解消されていません。
 長い不況の間には、企業の倒産や、それを避けるための人員整理、いわゆる「リストラ」が相次ぎました。そのせいで仕事を失った人はもちろんですが、そうでない人たちも「明日はわが身」というわけで、自分の将来に不安を感じるようになってきました。
 景気が悪くなると仕事を失う可能性があるということに、いったん気付いてしまうと、それに対する不安感は、ちょっとやそっと景気が良くなったくらいでは拭いきれません。


企業には頼れない時代に

 さらに、長い目で見ても、多くの企業がそこで働く人たちの面倒を一生見てくれるような時代が戻ってくるとは考えにくい状況です。
 今後、人口が減少しはじめると、もとからある商品やサービスの市場は縮小に向かいます。そうしたなかで企業が生き残っていくには、常に新しい商品、サービスの市場を開拓し、事業構成を変化させ続けることが必要になります。そうなると、社員の面倒を一生見るのは、ほとんど不可能です。下手に雇用を守ろうとすると、その企業自体が危うくなってしまいます。
 景気が回復しても、企業と社員の関係は、元に戻りそうにはありません。これからの時代には、企業に依存しない生き方が求められます。


若者たちの新しい働き方

 そのことに、多くの若者たちが気付いていて、これからの時代に適した働き方、生き方を模索しはじめています。その方向性は、専門的な技能を身につけようとしたり、自分で企業を興そうとしたりと、さまざまです。
 また、何かと批判されることの多い「フリーター」も、仕事以外の趣味や社会貢献活動などに人生の意味や楽しみを見つけることができれば、企業に依存しない生き方として、選択肢の一つとなるでしょう。
 とはいえ、フリーターはもちろん専門職の人も起業家も、その暮らしは、これまでのサラリーマンに比べればかなり不安定です。これからの時代には、社会全体としてお互いに支えあう社会保障の枠組みを、時代に見合った形に組み替えていくことが課題になるでしょう。


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